カナダで妊娠し、出産が近づいてくる妊娠後期、私は無痛分娩にするかどうかいまだに決めきれていませんでした。
日本と比べると無痛分娩が割と身近な選択肢であるカナダ。選択したところでお金もかからないので
「それなら無痛分娩に決まってるじゃん!」
と即決断できる方もいらっしゃるかもしれません。
私が無痛分娩にするか迷っていたのは、
「どんだけ痛いのか体験してみたい!」という興味本位から(;・∀・)
男に生まれていたら体験できないし、一生に一度かもしれないし、
せっかくだから体験してみたい…かも。
そして出産前のパパママクラスでデメリットを学んで「かゆみが出ることもある」と知り、
無痛分娩は避けたい!と思ったわけです。
かゆみを恐れている理由、それは妊娠中期にひどいかゆみに襲われたからです。出産してそろそろ6か月経ちますが痕が残ってます。。かゆいの嫌だ~!
でもでも都合がいいことに、
「無痛分娩に途中で切り替える」という選択肢もあり、
避けたいけど痛みに耐えられなかったら途中で切り替える、ということにしました。
なんていい選択肢(∩´∀`)∩
そんな私の無痛分娩体験談。
もしこれを読んでいる方が日本にいる方であっても、無痛分娩の基本的な部分は同じだと思うので一つの体験談として参考になると思いますヨ。
それでは、はじまりはじまり~
無痛分娩のメリットとデメリット
まずは、無痛分娩のメリットとデメリットを見てみましょう。
もちろん痛みを和らげる無痛分娩ですが、デメリットも知っておく必要があります。
詳しくは専門家が書いた情報を参考にしていただきたいのですが、ここでは簡単に抜粋を。
メリット | デメリット(考慮すべきこと) |
・最高の鎮痛剤 ・分娩のいつでも使用可能 ・5‐10分で効果が出始める ・麻酔の量の調整が簡単 ・陣痛時に休めるので力む力を蓄えられる ・他の鎮痛方法が効かない場合に使用できることも ・鉗子/吸引分娩や腰の痛みに対する鎮痛剤となり得る ・帝王切開時に起きていることが可能 | ・分娩を遅める可能性がある ・短時間の胎児の心拍数低下の可能性がある ・尿道カテーテルが必要になることも ・力むタイミングが合わず鉗子/吸引分娩になることも ・脚の感覚もなくなることがあるのでベッドに横たわることになる ・発熱や震え、かゆみが現れることも ・麻酔が切れてから頭痛が起こることも ・呼吸困難や神経損傷、麻痺がおこる可能性も少なからずある |
それぞれ挙げてみましたがいかがでしょう。
かなり低い確率ですが、呼吸困難や神経損傷、麻痺がおこる可能性も少なからずあるというのがデメリットの一番怖い部分かもしれません。
途中で無痛分娩に切り替えた理由
無痛分娩はできるだけ避けたいと思っていた私ですが、陣痛を体験して切り替えることになります。
私の出産は破水から始まりましたが、その破水がほんの少しでピンクがかっていたので「おしるしかな?」と思い病院に行くのが遅れました。
病院でチェックしてもらうと破水だったので受け入れてはもらえましたが、陣痛が強くなかったため陣痛促進剤のオキシトシンを投与することになります。
ナースに「無痛分娩はできるだけ避けたいけど様子見で」と伝えましたが、陣痛促進剤投与から8時間。二回目に子宮口を確認してもらった時、すでに耐えがたい痛みになって4時間は経過していたのにまだ半分しか開いていませんでした。
これからさらに数時間痛みに耐え、そしてさらに力まないといけないことを考えると、どうしても体力がもたないと思ったので無痛分娩に切り替えることにしました。
痛みもつらかったのですが、これが日中の分娩になるなら無痛分娩にはしていなかったと思います。眠すぎて眠すぎて、この状態では力めないと思いました。
破水したのが前日の朝4時で、無痛分娩を決めたのが朝3時。陣痛の合間の短い時間でさえ眠ってしまいバランスボールから落ちそうになるのを夫やドゥーラやナースが支えてくれている状態でした。
注意:麻酔科医が忙しいとすぐ来てくれない
カナダでの話ですが、当日の陣痛中に無痛分娩に切り替えても、麻酔科医が忙しいとなかなか来てくれないまま子宮口が完全に開き、そのまま出産することになることもあるそうです。だからできるだけ早めに決めていた方がいいわけです。
私の場合は、当日出産で入院した人の数も少なく、麻酔科医も15分程度でやってきてくれました。
決めてしまったら早く来てほしいわけです。決めてからが長い長い(笑)
無痛分娩の麻酔投入の様子
そしてついにクールなおっちゃん麻酔科医が登場。
陣痛の痛みと睡魔で意識が飛ぶ中、彼は言いました。
「これは必ずやらないといけないことではないし、リスクもあるから。理解してるね?」と。
そして「絶対動いちゃだめだからね~。」と。
昔、椎間板ヘルニアと診断されたことがある私は意識が飛ぶ中それを伝えました。どこらへんだったか聞かれ「一番下の方」と言うと「じゃあ上の方に刺すようにするから。」と返ってきました。
陣痛が来ている間に刺してもらっては無意識のうちに動いてしまいそうだったので、「陣痛が来るからちょっと待って!(; ・`д・´)」とか「今お願いします!」と私のタイミングに合わせてもらいました。
そして麻酔投与。
石のように体を固めます。
陣痛に意識がいっているので、針を刺す痛みなんていうのはほとんどありません。今刺したなというのはわかるけれど、背中の後ろで起こっている何か他人事のような感じ。
動かないようにじっとしている間に一度陣痛が来ましたが必死にこらえました( ;∀;)
動いていいとなかなか言われないので聞いてみると、「もう動いていいよ。」とのことで、無事終わったみたいです。
ベッドに横になると、尿道カテーテルを通されます。破水用にはめていたパッドも替えてくれました。
そしてドクターかナースかが私の脚に氷を当てて冷たいかどうか聞きます。
何か当たってる感覚は少しだけあったものの、冷たいとは感じませんでした。
※ちなみに私は陣痛促進剤投与で点滴をすでに入れていましたが、そうでない場合は血圧を下げないためにまず点滴を入れるようです。
自分で麻酔の量の調整ができる
数分後には麻酔の効き目が表れ始めました。体の下になる側に麻酔がいくので、右側が効いてないなと思ったら少し右を向くといった調整をする必要があります。
さらにスイッチを手渡され、効きが悪いなと思ったときに押せば麻酔の量を増やすことができるということでした。スイッチの隣にある光が赤ではなく緑のときだけ押せます。連続では押せません。
1、2回押したと思います。そしてその後1時間ほど眠ることができました。
ナース、夫、ドゥーラが世間話をしているのが遠くに聞こえました。
胎児の心拍が下がりすぎる事態に
胎児の心拍が下がるのは無痛分娩では「あるある」のようですが、私の場合は陣痛直後の胎児の心拍が下がりすぎる状態になりました。
正確なデータが必要なので、膣を通して胎児の頭に直接モニターが取り付けられます。
ナースがドクターに相談し室外からドクターもモニターで様子を見てくれていましたが、やはりよくならないのと破水から24時間経とうとしていたので、帝王切開となりました。
そしてオペ室に通されますが、もう一度子宮口を確認したところ完全に開いていたので力んでみようかとなり、経腟分娩へと変更となります。
この日他に帝王切開の先客がいたので手術まで1時間ほど待ったのですがその間に完全に開いていたのです。
ナースの指示に従って力む
そういうわけでオペ室での経腟分娩。無痛分娩の場合は力むタイミングがわからないのでナースがモニターを見て教えてくれます。それに沿って10秒間ほど力を入れます。
出産中、麻酔科医が「もう麻酔入れていないから。」と言っているのが聞こえました。それでも力むタイミングは自分ではわかりませんでした。
ただ、膣の部分に何か挟まっているような感覚は途中からずっとあり、会陰切開で赤ん坊が生まれた瞬間もスルッと出てきた感覚はありました。
その後は多分無痛でもそうじゃなくても同じだと思うのですが、赤ちゃんが出てきた喜び、そしてその赤ちゃんが今自分の胸の上に乗っていることで感無量で、あまり覚えていません。
胎盤を出すのにググっとお腹を押された感覚と、膣で何か行われている(縫合)感覚もありましたが、痛くはなかったと思います。
無痛分娩での出産後
出産後は特に頭痛や吐き気などはなく、ただ顔や脚のむくみが数週間取れませんでしたがそれが麻酔のせいだったのかはわかりません。
感想とまとめ
というわけで私の無痛分娩の体験談でした。
子どもが無事産まれてきたので言えることですが、無痛分娩に関しては陣痛の痛みも無痛分娩も両方経験できて、私の望み以上だったのではないかと(笑)
ただもし早く無痛分娩を選んでいたら、もっと早くに赤ちゃんが危うい状態になり帝王切開になっていたかもしれないし、なっていなかったかもしれないし。起こっていないのでわかりませんが(^^;)
出産に対する思いは人それぞれなので、どちらがいいかははっきりとは言えません。
痛みが嫌なら無痛がいいだろうし、薬を入れるのが嫌なら普通がいいだろうし。
麻酔科医が言った、
「これは必ずやらないといけないことではないし、リスクもあるから。理解してるね?」
という言葉の通りリスクもあるわけですが、
それが実際に起きる確率は極めて少ないとも言われてますしね。
この体験談が誰かの役に立てばいいなと思います。
私の詳しい出産体験エピソードも★よかったら読んでみてください↓
コメント