先日、コロナのワクチン1回目を接種した。
Modernaという種類。英語ではマドーナと聞こえるが、日本語ではモデルナというらしい。ややこしい。
パンデミックというのは生きててそうそうないものだ(と願いたい)し、大規模なワクチン接種もそうそう経験しないものだと思うので、自分の思い、そして体験談を記録として残しておこうと思う。
※ワクチン接種会場で一部暗めな空想があるので、苦手な方はご注意を。
ワクチン接種までの思い
コロナのワクチン接種について、実はあまり乗り気ではなかった。
理由はやはり、新しいワクチンだから。
急いで作られたまだ新しいワクチンというのは、治験者でさえ「数年後」を経験していない。今は良くても数年後に何か起こることもありえないとは言い切れない気がする。
子どもを産んだ以上、せめて子どもが大人になるまでは健康でいたいものだ。
授乳中の私は母乳を通しての子供への影響も気になる。授乳者へのCOVID-19のmRNAワクチンはフェーズ3では行われなかったらしく、治験者も少なく、何なら現在進行形で接種者のその後のデータを収集中らしい。
授乳者はCOVID-19のmRNAのワクチンのフェーズ3試験から外されたため、現在のところ効果や母乳への影響に関するデータはないが、生ワクチンではないため、生物学的メカニズムによれば、子どもへのリスクはないと考えられる。(What about Breastfeeding?の部分の要約(訳))
COVID-19 Vaccination: Special Populations Vaccination in Pregnancy & Breastfeeding DecisionMaking Support Tool Version 1.0- April 16, 2021
これまでのデータでは接種後に特に影響は見られなかったとあるが、5年、10年後にどうなるかは、実際のところ誰にもわからないのではないか。
妊娠中や授乳中のコロナウイルスのワクチン接種における本人または子どもへの深刻なリスクは現在のところ報告されていない。(COVID-19 vaccination during pregnancy or breastfeedingの部分一部要約(訳))
Covid-19 Planning for your vaccine
ただそう言いつつも、やはりコロナ拡大を止めるにはワクチン接種が必要だと思うし、実際に自分がかかった時に、ワクチンを受けたことで症状を抑えられるのならば、自分にも社会にも良いはずなのである。
夫は「何かあったらその時はその時」で現在のメリットで判断しているので、初めから受ける気満々だった。
アルバータ州で接種対象者となった時、即自分の分を予約する際に私の分まで予約することにしたのだ。
私もなんだかんだ言いつつ75%くらいは受ける気でいて、最後は夫に一押しされた感じで受けることとなった。
夫婦で別の日に予約した理由
夫婦で一緒に受けると副反応が同時に出て二人共動けなくなる可能性があり、子どもの面倒を見る人がいなくなるので、別の日に予約。
副反応といえば、以前子どもの2ヶ月予防接種と同時に私もB型肝炎のワクチン接種を受けたのだが、
その後2日間、
- 38度の熱
- 頭痛
- 目眩
- 吐き気
- 疲労感
- 筋肉痛
- 関節痛
に見舞われ、
「子どもが生まれたばかりなのに私死んじゃうんじゃないか」と思うくらいかなりきつく、平日で夫も仕事中でできる限り手伝ってくれたものの、フラフラだった。
それもあって今回夫は直近で予約可能だった火曜日に、私はその週の金曜日に受けることに。
私が寝入っても「週末で子どもの面倒見れるから大丈夫!」というわけで金曜日となった。さらに次の月曜も休みを取ってくれた。
こうして、準備万端でワクチン接種に挑むこととなった。
ワクチン接種会場の様子
会場はダウンタウンのコンベンションセンター。
ワクチン接種4時間前から接種前までに予約確認で届いたメール内のリンク先の事前調査(コロナの症状はないかなど)に回答し、最後のグリーンのチェックマーク画面を担当者に見せる必要がある。
入り口でその事前調査をすでに行ったかどうかを確認され、中へ。
そのあとは床の矢印に沿って歩く。スーイスイ。案内スタッフもたくさんいる。私の前の人は遥か先を行くため、案内スタッフに
「ハロー、こちらへお進みください。」
と言われる度に、自分が特別に歓迎されている、まるでVIPか何かになったような気になる。
エレベーターを上がり2階へ行くと、空港のゲートのようなセッティングの場所に到着。ベルトで仕切ってあるためそう見えたのかもしれない。
人が少なくここでもやはりスーイスイ。というか後ろから来てる人が超早歩きなのが体で感じ取れるので、無意識に早歩き、というかルールを知らない素人が遊びで競歩をする時くらい早く歩いた。
まず手消毒ステーションで手に消毒液をもらい手をこする。
少し歩いて次はマスクをもらう。それまでしていたのが捨てて良いものならば、その場にあるゴミ箱にポイして良いらしい。
そして少し歩いてまた手に消毒液をもらい、ついにアリーナっぽい場所へ、、
入る直前にスタッフがいて、「あなたは黄色」「あなたは赤色」・・・のところに並んでください、と振り分けている。
というわけで並んだ。私は赤色。情熱の赤。そんなことはどうでもいい。
列は全部で4列でアリーナの真ん中にある。その両側に色ごとに接種受付の机が確か4台ほどと、その後ろにやはり色ごとに、かなりうる覚えだが15-20箇所くらいの接種台があったと思う。列の正面奥は大きなwaiting areaで、接種後に15分間過ごす場所である。
前の人との間隔を保つため床の印に従って並ぶ。並んでいると、なんだか夢を見ているような気分になった。
見える光景が、何かの、ドラマか映画の一部の景色のような、そんな感じ。
そう、世界を猛威に振る舞ったウイルスのワクチンがようやく開発され、大勢の人が接種を受けている、という場面だ。
まさに今現実で起きている状態である。
これまでの自分の人生からはかなり現実離れしているため、まるで作り話の世界の中にいるような感覚を覚えたのかもしれない。
そしてもし自分がこのストーリーの作者なら、きっと話を面白くするために、次章の展開に踏み切るだろう。
”・・・あのコロナウイルスから〇年後、世界の〇分の1の人々が原因不明の病に侵され始めた。共通点は、ある会社のワクチンを受けた人だけに発生しているということ。そして…”
と、続けたいが暗い内容になるのでやめることにする。
嬉しい出来事があると、なぜかこういう暗いことを考えてしまうのは私の悪い癖だ。癖じゃなくて、性格なのかもしれない。
私は神様と言っても八百万の神の方を信じているが、もしこの一連のコロナパンデミックがたった一人の神が作る物語の一部に過ぎないのであれば、どうか続きは作らずに終わらせてほしいものである。
と、列に並びながら意識はどこか違うところにあったので、あっちを見たりこっちを見たりしていたものの、実際のところは眺めていただけで頭にはそうそう入っておらず、会場の状況はうる覚えなのである。
そんな空想の世界に浸りながら、10分くらい待ったと思う。列の先頭に来るとまたスタッフがいて、「あなたは〇〇へ進んで」と番号を言われたので、その番号が出ている場所へ。
そこで運転免許証と州のヘルスカードを差し出すように言われ、ワクチンの副反応等の説明が書かれた紙をもらった。
そしていよいよワクチン接種のデスクへ移動。ヘルスカードと用紙を渡し、接種前にいくつか質問の受け答え。
その後担当者がワクチンを取りに行き、ついに、ワクチン接種の時!
スタッフのお姉さんがワクチンを打つ時に、私の気を紛らわせようとしたのか2回目の接種時期の案内時期について耳元で話してくれたのだけど、前半はその声にドキッとし、後半は意識が注射に行ってて全然頭に入って来ず。
12-14週って言ってた気がするようなしないような。
注射時に話しかけて気を紛らわすのって、効果があるの子どもだけだと思いますぜ。
ちなみに注射はチクッとしたようなしなかったような。
軽くて一瞬で「え?もう終わり?」と思…声に出ていた。
その後waiting areaへ。間隔を開けて椅子が1つ又は2つずつ置かれている。
座ると見えるところに大きな時計が。そして前の席の背もたれには、15分経ったら去るようにとのメッセージが書かれている。
こういう時、最近の人は自分のスマホを出していじり出すことが多いと思うが、私は前の大きな時計を見つめたり、館内を眺めたりして過ごした。
館内の真ん中の列は途絶えることがない。連日こんな調子なのかと想像すると、人類の多さに参ってしまう。
そして働いている医療従事者を見ながら、ワクチンを開発する人もいれば、ワクチンを打てる人、そしてただ打たれるだけの、自分がいる、と考えていた。
私は花のアレンジはできるが、世界がこういった状況に陥った時、全く役に立たないスキルなのである。
もちろん、アレンジする以上は花で癒される心があると信じたいが。
人を助けるというのはそれだけ重要で、尊敬されるべき仕事だな、と考えていたら、15分経った。
会場をあとにし、矢印に沿って出口へと向かう。最後にミニのハンドサニタイザーをテーブルから2つ取るようにとの指示が書かれた紙があったので2つ取った。
こんな感じでワクチン接種終了。
あとで夫が「電車のチケットもらった?」と聞いてきた。夫の時はハンドサニタイザーをもらう場所で公共交通機関で来たか聞かれたらしく、「はい」と答えたら往復チケットがもらえたらしい。
スタッフ3人もいたのに聞かれなかったし、たくさんのハンドサニタイザーがテーブルにキレイに並べられていることばかりに気を取られ、そんな文言は目に入らなかった。もしかしたらスタッフで遮られていたのかもしれないし、ただ見過ごしただけかもしれない。
でも見たところで、聞かれたら断らずにありがたく頂戴するけどわざわざ聞いてまではもらわない。
なぜなら電車で行ったけどダウンタウンの無料圏内の利用だから。
・・・と平然を装って言ってみたが、もちろん本当はもらいたかった。往復合計7ドル分もらえたら嬉しい。
そういうわけで、公共交通機関を利用したら交通費(チケット)がもらえるようだし、車で行くと駐車場は無料らしいし、ちょっとしたことだけど、ワクチン接種が推奨されているのがわかる。
ワクチンの副反応
嘘か本当かは別として、噂によるとモデルナは1回目接種の副反応が強く、ファイザーは2回目接種の副反応が強いらしい。
私より数日前にモデルナを接種した夫は、打たれた日は「全然痛くなかったんだけど、ちゃんと打たれてなかったら、液体がつたうよね?」と言うくらい、何も感じなかったらしいが、
その日の夜から2日ほど、接種した部分の腕の痛み、微熱、頭痛、倦怠感に見舞われた。
先のB型肝炎ワクチン接種の副反応のこともあり、私も同じような痛みに悩まされるのだろうと準備はできていたため、
症状が出る前に、Tylenolという痛み止めの薬を飲んだ。
次の日また飲んだ。
もともと腰痛持ちでこの時痛みがひどかったので、ワクチンの症状が出なくても腰痛の痛みに効いてくれれば、と思った。思うことにした。
するとその後3日間で、結果的に腕の痛みだけで済んだ。その腕の痛みもそんなにひどくはなかった。
眠気があって土曜日曜共に昼寝をしたが、眠いのはいつものことである。
だから少し拍子抜け。
薬が効いたような感じではなく、もともと何も症状が出ていない感じだった。
接種した次の日、授乳中の息子(14ヶ月)がほてっているような気がしたので熱を測ってみたら37.6度あった。普段は36度台から37度前半なので、今まで測った中では一応一番高かったがそれもほんのひとときだった。数時間前に太陽の下で遊んだからだけかもしれない。
授乳を通して抗体が運ばれることがわかったらしいが、まだデータが少なすぎるようだ。
最近のいくつかの例から、授乳を通して抗体が運ばれることがわかった。(冒頭部分一部訳)
Vaccinated mothers can transfer coronavirus antibodies through breast milk, studies suggest
詳しい内容は上記リンク内のご確認を(英語)。
今後どうなるかは、なってみないとわからないのかもしれないが、特に何もなく以前のような日常が戻ってくることをただ願うのみである。
最後に
人がひっきりなしでやってくる会場。でもシンプルかつ効率よく整備されていて受ける側として全くストレスを感じることはなかった。
ワクチン接種は個々の自由だが、アルバータ州では現在12歳以上の50%以上の人がすでに1回目のワクチン接種を終えているという。
「非日常」な日々が始まる直前に生まれた息子にも、「日常」の世界を味わえるようになる日が早く来てほしいと思うばかりだ。
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